3年放置で本税の40%超が上乗せされる|暗号資産の無申告加算税と延滞税

「去年の取引、少額だし申告しなくてもいいか」と思ったことはないでしょうか。あるいは手続きが煩雑で、気づけば3年が過ぎていた——そういうケースも珍しくありません。しかしその判断が、後になって想定外の重さでのしかかってくることがあります。

税務当局はKYCデータを持っている

国税庁は近年、暗号資産取引所への税務調査を強化しています。日本で運営される取引所はKYC(本人確認)が義務付けられており、取引履歴は金融機関と同様に当局が確認できる状態にあります。

2021年、国税当局が暗号資産取引の申告漏れを大規模に摘発したことが報じられました。1件あたり数千万円規模の申告漏れが発覚したケースも出ています。取引所経由でビットコインを売買した記録は、KYCが完了している時点で追跡可能です。「取引所のことまで税務署にはわからないだろう」という前提は、すでに崩れています。申告しないことのリスクは、年々高まっています。

無申告加算税と延滞税の計算

申告をしないまま発覚した場合、本来の納税額(本税)に加えて、次の負担が生じます。

無申告加算税は、本税に対して原則15%が課されます。税務調査が入ったあとに発覚した場合や、過去にも無申告歴がある場合は20%まで引き上げられます。意図的な隠蔽が認定されれば、重加算税として40%が適用される可能性もあります。

延滞税は、本来の納付期限の翌日から発生します。2ヶ月以内は年2.4%ですが、2ヶ月を超えた部分からは年8.7%に跳ね上がります。

3年間放置した場合を試算してみましょう。本税を100万円と仮定します。無申告加算税は15万円。延滞税は、最初の2ヶ月分(約4,000円)に加え、残り34ヶ月分が年8.7%で計算されるため、約24万6,000円。合計すると追加負担は本税の約40%超に達します。100万円を3年間放置すると、140万円以上の支払いになるという計算です。

「申告を後回しにした」だけで、これだけの差が生まれます。

適正申告はスタートラインに過ぎない

確定申告を正しく行うことは、当然の義務です。しかし注意したいのは、申告を適切に行ったとしても、それだけではカバーできないリスクが別に存在するという点です。

取引所に預けたままのビットコインは、あなたが秘密鍵を持っていません。取引所の経営や行政の判断によって、アクセスを失うリスクが常に存在します。2022年のFTX破綻では数十万人のユーザーが一夜にして出金できない状態に追い込まれました。日本でも2024年のDMM Bitcoin事件では482億円相当が流出し、顧客の出金停止が長期間続きました。

税務コンプライアンスと資産の管理権は、別の問題です。申告を完璧にこなしていても、取引所に問題が起きれば自分のビットコインに手が届かなくなる可能性があります。「申告した=安全」ではなく、申告はあくまで最低限の義務であり、その先に管理の問題が別途残ります。

申告と自己管理の両方を整える

長期でビットコインを保有するなら、税務対応と資産管理の両面を整える必要があります。

申告漏れがある場合、税務調査の開始前に自主的に期限後申告を行えば、加算税が軽減される場合があります。過去の取引を把握しきれていない場合は、取引履歴をもとに暗号資産に詳しい税理士へ相談することをお勧めします。

申告の問題と並行して、秘密鍵の管理を自分の手に取り戻すことも検討してください。ハードウォレットを用いたセルフカストディであれば、取引所の経営状況や規制の変化に関わらず、自分のビットコインへのアクセスを維持できます。税務を適切に処理し、かつ鍵を自分で管理する——この2つが揃って初めて、本当の意味でビットコインを保有していると言えます。

まず今年の申告状況を確認することから始めてみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

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