M2膨張100兆ドル|ビットコイン上昇の恩恵を受け取る唯一の条件
BTCの価格が大きく動いたとき、あなたは「自分のBTCが増えた」と感じましたか?
もし取引所のアプリを開いて残高を確認しただけなら、少し立ち止まって考えてほしいことがあります。
100兆ドルという数字が意味すること
2020年以降、世界中の中央銀行が大規模な金融緩和を実施してきた。コロナ禍の経済対策を皮切りに、FRBは数兆ドル規模の資産購入を繰り返し、日銀もETFを含む広範な資産買い入れを継続した。その結果、現在の世界全体のM2マネーサプライ(現金・預金の総量)は推定100兆ドルを超えている。
M2が増えるということは、通貨の総量が増えるということだ。供給が増えれば、一単位あたりの価値は薄まる。これはインフレとして物価に現れるだけでなく、BTC・株・不動産などの実物資産の価格上昇という形でも表れやすい。
BTCが「追い風を受ける理由」の構造
BTCには発行上限がある。厳密にいえば、2100万枚を超えるBTCは数学的に発行できない設計になっている。コードがそれを保証しており、誰も例外を作れない。
M2が増えるたびに、BTC1枚あたりの「通貨との交換レート」は相対的に上昇しやすくなる。これは価格予測ではなく、希少な固定資産に対して流通通貨の量が増えるという構造の話だ。金のような実物資産も同じ理屈で評価されてきたが、BTCはさらに採掘量が4年ごとに半減する設計になっており、希少性は時間とともに強まる一方だ。
「価格が上がった」と「恩恵を受けた」は別の話
ここで問いを立て直したい。BTCの価格が上がったとき、その恩恵を確実に受け取れるのはどういう人か。
取引所に保管している場合、あなたが実際に管理しているのはBTC自体ではなく、取引所に対する「BTC相当額の請求権」に近い状態だ。秘密鍵は取引所が管理しており、あなたにはない。この状態でBTC価格が2倍になっても、取引所がアクセス不能になれば、その恩恵はすぐには引き出せない。
2022年末のFTX破綻がこの現実を数字で示した。崩壊の過程で約80億ドルの顧客資産が凍結され、出金停止が宣言された。BTCがいくらの価格を示していても、引き出せなければ意味がない。
日本では顧客の暗号資産は分別管理が義務づけられており、取引所が破綻してもすぐに資産が消えるわけではない。ただし、「破産手続きが完結するまで引き出せない期間が生じる」「手続きの結果によって全額戻らない可能性がある」というアクセスと回収のリスクは残る。マウントゴックス破綻から10年以上が経過した後も補償手続きが続いていた事例は、その現実を物語っている。
追い風を受け取るための条件
M2は今後も増え続ける構造にある。各国政府の財政赤字が拡大し、中央銀行が金融緩和を繰り返す傾向は、短期的に逆転しにくい。BTCを持つことがインフレへの備えになりうるという考え方が注目される背景には、この構造がある。
しかし、その追い風を確実に受け取るには条件がある。秘密鍵を自分で持っていること、それだけだ。
ハードウォレット(ColdcardやFoundation Passportなど)を使い、シードフレーズを安全に保管する。これがセルフカストディの基本だ。最初は設定に手間を感じるかもしれないが、一度構築してしまえば、取引所のサーバー状態に日々の保有を左右されることがなくなる。
価格が上がるほど、リスクも大きくなる
もう一つ見落とされがちな論点がある。BTCの価格が上昇すればするほど、取引所に預けた資産の「引き出せないときの損失額」も増える。
「価格が低いうちは取引所に置いておき、上がってから移せばいい」という発想はわかる。しかし取引所の問題が表面化するのは、往々にして市場が大きく動いたタイミングだ。Celsiusが破綻したのも2022年の相場急落期で、FTXが崩壊したのも同じ局面だった。出金停止が宣言されるのは、最も引き出したいと思うタイミングと重なりやすい。
M2が膨張し、BTCの希少性が高まり、価格上昇の追い風が吹いている。その恩恵は、秘密鍵を自分で持っている人にだけ確実に届く。
取引所の残高画面で見ている数字は、まだ完全にコントロール下にあるBTCではないかもしれない。今日、自分の秘密鍵を持つことを具体的に検討してほしい。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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