フルノード同期が数時間になった理由|Assumevalidの仕組みと検証の意味

フルノードを立てようとして、途中でやめた経験はないだろうか。

「同期が終わらない。もう3日経つのに、まだ50%だ」——そう感じて諦めた人は少なくない。2013年ごろ、フルノードを立ち上げると、ブロックチェーン全体を最初から検証するのに数日かかることが珍しくなかった。帯域幅の問題もあったが、それ以上に署名検証の処理が重く、マシンスペックに関係なく時間がかかった。そのハードルが「フルノードは玄人向け」という印象を定着させた。

その前提が、2017年に崩れた。

Bitcoin Core 0.14.0:Assumevalidの登場

2017年3月、Bitcoin Core 0.14.0がリリースされた。このバージョンに含まれた機能が「Assumevalid」だ。

Assumevalidの仕組みはシンプルだ。Bitcoin Coreの開発者が事前に設定したチェックポイントブロックより古いブロックについては、署名検証をスキップする。UTXOの残高計算は引き続き行うため、誰がどれだけBTCを持っているかの検証は維持される。省略するのは、過去の取引の署名が正しいかどうかの計算だけだ。

なぜ安全なのか。ビットコインのブロックチェーンは、1ブロックでも改ざんされると以降のブロックのハッシュがすべてずれる。仮に過去ブロックに不正な取引が混入していれば、そのハッシュ連鎖は既知のチェックポイントと一致しない。しかも最長チェーンルールにより、改ざんされた鎖がネットワーク全体に認められることはない。現実問題として、過去数年分のブロックをすべて改ざんしてネットワークに受け入れさせるには、現在のハッシュレートの大半を長期間独占する必要があり、現実的なコストではない。

この仕組みにより、フルノードの初期同期は数日から数時間に短縮された。今や一般的なPCと一般的な回線があれば、半日から1日程度で自前のフルノードを立ち上げられる。「同期に時間がかかるから無理だ」という言い訳は、2017年の時点で消えていた。

「検証できない」ということの意味

ここで問いを立て直したい。フルノードを持つとは、具体的に何を意味するのか。

取引所にBTCを預けたままにしている場合、あなたが目にするのは取引所のシステムが表示する残高数字だ。その数字がオンチェーンの実態と一致しているかどうか、あなたは独立して確認できない。取引所が「残高はこれだけあります」と言えば、その言葉を信じるしかない。

自前のフルノードがあれば話は変わる。Bitcoin Coreはビットコインネットワーク全体のルールを自分のマシン上で走らせる。2100万枚の発行上限が守られているか、自分のウォレットへの送金が本当に確認されているか、ネットワーク全体のコンセンサスが正しく機能しているかを、自分の目で直接検証できる。誰かの言葉ではなく、自分のソフトウェアが確認する。

「信じるな、検証せよ(Don’t trust, verify)」というビットコインの原則は、セルフカストディとセットでなければ完成しない。秘密鍵を持っていても、他人のノードに接続している限り、残高情報は他人のフィルターを通って届く。自分のノードを持つことで、初めてその情報を自力で検証できる。

ハードルが下がっても、多くの人が使わない理由

Assumevalid以降も、フルノードの普及は劇的には進んでいない。理由はいくつか考えられる。まず、500GB超のディスク容量が必要だということ。次に、ソフトウェアの設定に慣れが必要なこと。そして「なくても普通に取引できるから」という実用上の問題を感じにくい点だ。

だが、普通に取引できることと、自分でBTCを検証できることは別の話だ。取引所がシステム障害を起こしたとき、規制当局の調査が入ったとき、あるいは単純に経営が悪化したとき、アカウント上の残高数字を引き出せる保証はない。そのとき何も検証できない立場に自分を置いていることを、平時に意識している人は少ない。

ノードを持たない者がリスクに気づくのは、たいていリスクが顕在化した後だ。

数時間で立てられる環境が整った今

今のフルノード構築にかかる時間は、Assumevalidのおかげで大幅に短縮されている。ノード専用機として人気のRaspiBlitzやUmbrelを使えば、Raspberry Piと外付けSSDで1日以内に実用レベルのフルノードが動く。PCにBitcoin Coreを直接インストールする方法でも、現在の主要な家庭用回線と一般的なSSDがあれば、数時間から半日で同期が完了する。

物理的なハードルはすでに存在しない。残っているのは、「なぜ必要か」という問いに対する答えを自分の中で持てているかどうかだ。

取引所の残高表示を信頼するか、自分のノードで検証するか。その選択が、ビットコインを本当に自分のものとして管理しているかどうかを左右する。「数日かかるから無理だ」という理由は、2017年に終わっている。今すぐBitcoin Coreのダウンロードページを開いてみることから始めてみてほしい。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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