BTCに損失繰越がない理由|株と比べた日本税制の不均衡
ビットコインで利益を出した年の翌年、相場が急落して損失を抱えた。そんな経験をしたことはありますか。株式投資であればこの状況に対応できる制度があります。ところが、ビットコインではそれができません。
株は3年間、損失を「持ち越せる」
株式の場合、ある年に損失が出ると、翌年以降最大3年間、その損失を利益から差し引く「損失繰越控除」を使えます。
たとえば2023年に株で50万円の損失を出し、2024年に100万円の利益を得た場合、課税対象は差し引き50万円になります。株式は申告分離課税で一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が適用されるため、税額は約10万円です。損失を翌年に持ち越せるだけでなく、どれだけ稼いでも税率は変わりません。
BTCには、この仕組みがない
問題は、ビットコインをはじめとする暗号資産に損失繰越控除が認められていない点です。
暗号資産の利益は「雑所得」として分類され、給与や事業所得と合算される総合課税の対象になります。利益が増えるほど累進税率が上がり、給与所得と合わせた合計所得が一定水準を超えると、最大で所得税45%+住民税10%、合計55%の税率が適用されます。
そして損失が出ても、翌年以降に繰り越すことはできません。年をまたいだ損失は、原則としてその年限りで切り捨てられます。
2024年にBTCで300万円の利益が出て、2025年に200万円の損失を出したとします。株であれば2025年の損失を2026〜2027年の利益に充てることができます。しかしBTCでは、2024年の300万円に対して高い税率で課税されたあと、2025年の200万円の損失はそのまま切り捨てられます。上がった年に大きく削られ、下がった年には何も戻ってこない。これが暗号資産ホルダーに課された構造です。
給与が高い人ほど不利になる
雑所得の総合課税には、さらに見落とされがちな問題があります。本業の給与所得が高い人ほど、BTCの利益に対してより高い税率が適用されるという点です。
年収600万円の会社員がBTCで500万円の利益を出した場合、合計所得は1100万円を超えます。この水準では、BTCの利益に40%を超える実効税率がかかることがあります。株式であれば、収入の多寡に関わらず一律20.315%です。
FXの場合は2012年に申告分離課税へ移行しており、損失繰越も3年間認められています。暗号資産は市場規模が拡大する中でも、この改正が実現していません。制度の整備が追いついていない分野で、ホルダーが不利な条件を負い続けているのが現状です。
税で削られ、管理権も不確かな状況
税制の不利に加えて、取引所にBTCを預けたままにしている場合は別のリスクも重なります。
取引所は法律上、顧客資産を分別管理する義務を負っています。しかし、取引所が経営危機に陥ったり、システム障害が発生したりした場合、出金が一時的に停止されることがあります。過去には破産手続き中に数年単位で出金が止まった事例が国内外に複数あります。
税で利益を削られながら、手元に戻すアクセス権すら確保されていない状況に置かれる。これは税制とは別の次元で、BTCホルダーが向き合うべきリスクです。
管理権だけは今日から取り戻せる
現行の税制を個人が変えることはできません。しかし、資産の管理権については自分で選択できます。
セルフカストディとは、秘密鍵を自分で管理し、取引所に管理を委ねない方法です。ハードウォレットを使ってBTCを自分の管理下に置くことで、取引所の経営状況や当局の動向に左右されず、いつでも自由に動かせる状態を維持できます。
税制が整備されるまで待つのか、それとも管理権だけでも今から確保するのか。少なくとも後者は、今日から始めることができます。
まず1台、ハードウォレットを手元に置くことから始めてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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