亜鉛合金は420℃で溶ける|シードプレート素材の選定基準
あなたが使っているシードフレーズ用の金属プレート、素材の型番を確認したことがあるか。
「金属だから大丈夫」という前提は、素材を確認した上でしか成立しない。金属は種類によって融点が数倍以上異なる。住宅火災の最高温度と、手元のプレートの融点を照合したとき、はじめてリスクの輪郭が見えてくる。
住宅火災が達する温度を確認する
木造住宅の火災では、室温が急速に上昇し、条件次第で1000℃から1100℃を超える。建築基準法が想定する耐火構造の基準温度は加熱開始後60分で約1000℃前後であり、これは実際の住宅火災と近い水準だ。「数百℃で収まる」という前提は、木造密集地帯における現実の火災では通用しない。
紙のシードフレーズが233℃で発火するという事実は広く知られている。だから金属プレートが代替として選ばれる。ところが、素材の種類によっては住宅火災の熱に対してほとんど意味をなさないものが市場に出回っている。
素材別の融点と、住宅火災との交点
流通しているシードプレートには複数の素材が使われている。融点を並べると現実が浮かびあがる。
亜鉛合金製のプレートは約420℃で溶解する。アルミニウム製は約660℃で溶ける。どちらも住宅火災の最高温度を大きく下回る。「金属プレートを使っている」という安心感は、素材を確認しないかぎり根拠のない話だ。
一方、SUS316Lというステンレス鋼は融点が約1400℃に達する。チタン(グレード5)は1668℃まで耐える。どちらも住宅火災の温度域を上回っており、シードフレーズを刻む素材として実用上の耐火性がある。
この差は単なる数値の違いではない。12語または24語のシードフレーズが火災後に判読可能な状態で残るか、灰の中で使い物にならない状態になるかを決める。それはBTCへのアクセス可否、すなわちセルフカストディが機能するかどうかに直結する。
「型番」の表記がなければ確認できない
製品選定で確認すべきポイントがある。「金属製」「ステンレス製」という表記だけでは素材が特定できない。ステンレスの中でもSUS304とSUS316Lは組成が異なり、耐腐食性・耐熱性に差がある。型番まで明示されていなければ、本当の耐火性能を確認する手がかりがない。
購入前に確認したい項目を以下に挙げる。
- 素材がSUS316L、またはTitanium Grade 5などの型番レベルで表記されているか
- メーカーによる耐火試験の実施有無、または第三者検証データが公開されているか
- 刻印方式がレーザー刻印か打刻か(熱によるアルミコーティングのはがれなどに影響する場合がある)
「スチール」「メタル」といった曖昧な表記のみの製品は、素材が確認できない。価格が安い製品に亜鉛合金や低グレードアルミが使われている事例がある。安価なプレートを選ぶことはコスト最適化ではなく、12語を守れないリスクを買うことだ。
セルフカストディを選んだ人が問われること
取引所にBTCを預けたままにする選択をした場合、シードフレーズは必要ない。秘密鍵を自分で管理しない以上、シードフレーズが存在しないからだ。
しかし取引所に何かが起きたとき、アクセス権を失うリスクが現実になる。審査が長引く、出金が一時停止される、最悪の場合は破産手続きに入る——こうした事態のとき、自分のBTCを自分の意思で動かせる唯一の根拠が、秘密鍵だ。そしてその回復手段がシードフレーズである。
セルフカストディを選ぶとは、この秘密鍵を自分が管理するということだ。シードフレーズをどう保管するかという問いは、BTCを本当に持っているかどうかに直結する。
耐火性能を確認しないまま金属プレートを使っているなら、「金属だから安全」という前提が成立しているかどうか、改めて問い直してほしい。
今日、手元のシードプレートの素材表記を確認することから始めてほしい。型番がSUS316LまたはTitanium Grade 5でない場合、住宅火災に対して十分な耐火性があるとは言い切れない。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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