収益ゼロと元本リスク|LN容量リース5年間で広がった格差

あなたのビットコイン、取引所に預けたままにしていませんか。残高が増えることもなく、ただそこにある。それ自体を問題と感じる人は少ないかもしれません。しかし2020年以降、まったく同じ量のBTCを持ちながら、収益を積み上げ続けているグループが存在しています。

2020年に開いた「容量リース市場」

ライトニングネットワーク(LN)には、チャネル容量をリースする市場が2020年頃から整備されてきました。LNノードを運用する者は、チャネルに資金を張り付けることで流動性を提供し、その対価としてプレミアムを受け取ることができます。

容量を必要とする事業者や他のノードに対して「一定期間、自分のチャネル容量を使わせる」という形で収益を得る仕組みです。BTCをただ保管するのではなく、ネットワーク上で能動的に稼働させる経済圏が、5年の時間をかけて実態を伴うものになっています。

参加条件は秘密鍵の有無だけ

この市場に参加するために必要なことはひとつです。自分の秘密鍵でLNノードを動かすこと、それだけです。

秘密鍵を保持していれば、ノードを立ち上げ、チャネルを開き、容量を提供してプレミアムを受け取るサイクルを回せます。逆に言えば、秘密鍵を持っていない状態では、この仕組みに入る入口が最初から存在しません。

取引所にBTCを預けている場合、秘密鍵は取引所が管理しています。ユーザーはノードを動かすことができず、チャネルを開くことも容量を提供することも不可能です。市場が活況であっても、その恩恵が届く経路が存在しないのです。

取引所組が失うもの①:収益の5年分

2020年から今日まで、LNの容量リース市場を通じて積み上げられた収益は、すべてセルフカストディ保有者のものです。取引所にBTCを置いていたユーザーの取り分はゼロです。

重要なのは、この差が一時点の話ではないということです。市場が動いている間、収益は積み上がり続けます。5年前に同量のBTCを持っていた2人がいたとして、一方はセルフカストディを選んで容量リース市場に参加し、もう一方は取引所に置いたままにした場合、その差は静かに、しかし確実に広がり続けています。

BTCの価格上昇に期待を持ちながら取引所に預けているとすれば、その恩恵を受け取りつつさらにネットワーク収益も積み上げているグループの存在は見えにくいかもしれません。しかしその格差は現実として存在しています。

取引所組が失うもの②:元本へのアクセス喪失リスク

収益機会のなさに加えて、もう一つの問題が取引所保管には常に潜んでいます。何かが起きたとき、元本へのアクセスが失われるリスクです。

2022年11月、FTXが破綻しました。消えたとされる顧客資産は約80億ドル規模に及びます。FTX上の残高は正常に表示されていても、引き出し先の実物が存在しなかった。破産手続きが始まると、ユーザーは債権者として手続きに参加するしかなく、資産へのアクセスは長期にわたって失われました。

自分の秘密鍵でBTCを保持していれば、取引所の状況に関わらず、自分のBTCにいつでもアクセスできます。取引所側で何が起きても、それが自分のBTCの引き出しを阻む経路が存在しません。

「稼げないのに管理権もない」という構造

リスクとリターンの一般的な考え方では、リスクが高い選択ほどリターンも高くなることが期待されます。しかし取引所保管の場合、収益機会はゼロに近く、取引所の健全性に依存するリスクが常に存在しています。

セルフカストディ保有者は容量リース市場を通じてBTCを稼働させながら、元本も自分の管理下に置いています。取引所に預けることで何かを得ているわけではなく、収益機会と管理権の両方を失っているという構造です。

5年前の選択が今日の差を作っているように、今日の選択が次の5年間の結果を決めます。まずは秘密鍵を自分で管理する環境を整えることが、この市場に参加するための第一歩です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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