コインチェック凍結と55%課税が重なった春|2018年3月の二重の罠

2017年末、ビットコインは220万円を超えた。あの熱狂の中で利確した人は、翌年3月に大きな現実を突きつけられることになります。

日本でビットコインの売買益は雑所得として扱われ、他の所得と合算した上で最大55%(所得税最大45%+住民税10%)の税率が適用されます。2017年末の高値で利確した人の手元には、翌年3月15日の申告期限までに、場合によっては数百万円単位の納税義務が発生していました。

これ自体は法律で定められたことであり、避けることはできません。問題は、そこにまったく別のリスクが重なったことです。

2018年1月、コインチェックが止まった

2018年1月26日、コインチェックから約580億円相当のNEMが流出しました。取引所は即座に出金を全面停止し、ビットコインを含むすべての通貨が動かせない状態になりました。

同時期、BTCの価格自体も急落していました。2017年末に200万円を超えていた価格は、2018年初頭に半値以下へと下がっていきます。しかし税金の計算基準となるのは「利確した時点の利益」です。その後どれほど価格が下がろうと、確定した税額は変わりません。

高値で利確した利益に対して最大55%の税金が確定している。その納税資金をBTCとして取引所に置いていた人は、申告期限の3月15日を前に、BTCを動かすことも現金化することもできない状態に追い込まれました。取引所組には、事実上の逃げ道がなくなっていたのです。

「分別管理」があっても引き出せない現実

よく聞かれる反論に、「日本の取引所は分別管理が義務付けられているから大丈夫」というものがあります。

確かに、資金決済法により取引所は顧客資産を自社資産と切り離して管理する義務を負っています。法律上、取引所に預けたビットコインはあくまでもあなたの資産です。

ただし、「法律上あなたの資産である」ことと「あなたがいつでも引き出せる」ことは、まったく別の問題です。

2018年1月のコインチェック事件で出金が止まったとき、問われたのは所有権の問題ではなく、アクセス権の問題でした。顧客の資産であることは変わらない。しかし出金システムが停止されたとき、手元にビットコインはありません。税金の請求だけが来ます。

セルフカストディなら何が違ったか

自分でハードウォレットを持ち、秘密鍵を管理していた人は、この状況とは無縁でした。

取引所が何をしようと、自分の秘密鍵が安全な場所にある限り、ビットコインは動かせます。2018年春にコインチェックが出金停止していた間も、セルフカストディ組は自分のBTCにアクセスできる状態にありました。

もちろん55%の税負担という問題は変わりません。BTCの価格下落の痛みも変わりません。ただし「払いたいのに払えない」という状況だけは回避できた。管理権を自分で持っているということは、最悪の局面でも最低限の選択肢が残されるということです。それが、取引所保管とセルフカストディの根本的な差です。

2024年以降も、同じ構造は繰り返される

コインチェック事件から6年が経ちました。しかし構造は変わっていません。

2024年5月にはDMM Bitcoinで482億円相当の不正流出が発生し、約6ヶ月にわたって出金制限が続きました。それ以前にも、FTX、セルシウス、ボイジャーと、世界各地の大手取引所が突発的に出金を停止した事例が続いています。

BTCの価格が大きく上昇した局面で利確した場合、税負担は過去最大水準になりえます。そのタイミングで取引所が何らかの問題を抱えれば、2018年と同じことが起きます。取引所凍結はいつ起きるか事前にはわかりません。55%の税率は、誰に対しても等しく適用されます。

今できる備えは一つだけ

セルフカストディへの移行を「技術的に難しそう」と感じて後回しにしている人は少なくないでしょう。しかし実際にはハードウォレットの初期設定は1〜2時間で完了します。

2018年3月に出金できなかった人たちにも、事前に動く機会はあったはずです。上昇相場の中で「まだ大丈夫」と先延ばしにし続けた結果が、あの春の現実でした。

今、取引所にビットコインを置いているなら、セルフカストディへの移行を本気で検討することをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

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