崩壊が最高収益日になる取引所の構造|LUNA・EOSの事実

2022年5月7日から数日間、暗号資産市場では前例のない崩壊が起きていた。LUNAが最高値119ドルから0.0001ドル以下へ、時価総額にして約400億ドルが消失した。このスピードは2008年のリーマンショックでさえ追いつけないものだった。

保有者がパニックになるのは当然だ。しかしその「パニック」の過程で、あるプレイヤーは記録的な収益を上げていた。取引所だ。

崩壊の日が繁忙期になる構造

売り手も買い手も、崩壊の過程で注文を出し続けた。底値を掴もうとした者、損切りに踏み切った者、空売りで利益を狙った者。その全ての取引に手数料がかかった。崩壊の速度が速いほど、取引量は増加する。

取引所にとって、アルトコインの暴落は「厄災」ではなく「繁忙期」になり得る。LUNA崩壊の数日間、取引所が記録した取引量はまさにその事実を示している。価値が消えていく過程こそが、手数料収入のピークになるという逆説だ。

EOSが7年間かけて証明したこと

2017年から2018年にかけて実施されたICOで、EOSは約40億ドルを調達した。当時の暗号資産市場で史上最大規模の資金調達だった。最高値は13ドル台をつけた。それから7年が経ち、最高値比で95%以上下落した状態が続いている。

その7年間、取引所はEOSの上場を継続した。価値が下がるたびに、保有者は売却を検討し、一部は購入を続けた。その双方向の取引から、取引所は手数料を徴収し続けた。価値の下落は取引所の収益を止めなかった。7年間という時間軸が示すのは、これが例外ではなく構造的な常態であることだ。

ICO銘柄9割が消えた後、取引所は何を失ったか

2017年のICOブームを振り返ると、当時上場した銘柄の9割以上が2019年までにほぼ無価値になったとされている。それだけ多くの銘柄が消えた。では取引所は何を失ったか。

取引所が上場廃止を決定するのは、通常「取引量が極端に低下した後」だ。銘柄が崩壊していく過程、つまり価値がゼロに近づく全ての期間、取引所は手数料を取り続けた。「銘柄が生きている限り手数料を取れる」構造は、取引所が銘柄の価値消滅を急ぐインセンティブを持たないことを意味する。

アルトコインを無価値・詐欺的と批判するのは容易だ。しかし問題はそれだけではない。その崩壊プロセス自体が、取引所にとって収益機会として機能しているという構造的な事実がある。

あなたのビットコインはどこにあるか

ここで立ち止まって考えてほしい。あなたのビットコインは今夜、どこにあるか。

取引所のアプリを開けば残高が表示される。その数字は正確かもしれない。しかしその残高を動かす秘密鍵は、あなたの手元にはない。取引所が管理するサーバーの中にある。取引所に何かあれば、あなたはその残高にアクセスできなくなるリスクがある。

過去にはFTXが破綻し、Celsiusが資産を凍結し、Mt.Goxが崩壊した。いずれも「残高はある」状態のまま、出金が止まった。アルトコイン崩壊のたびに、取引所は次のリスクにさらされる。流動性危機、取り付け騒ぎ、規制当局の介入。そのリスクはビットコインを預けている利用者にも波及し得る。

ビットコインの堅牢さが届く条件

ビットコインはアルトコインとは設計が根本的に異なる。発行上限2100万枚は数学的に固定されており、17年間一度も変更されなかった。誰かが変えようとするたびに、フルノードを運用するコミュニティが退けてきた。EOSやLUNAのようにコアチームが発行量を操作できる構造ではない。

しかしこの堅牢さは、秘密鍵を自分で管理している者にのみ届く。取引所に預けたBTCは、プロトコルの堅牢さを享受しながら、同時に取引所固有のリスクを抱え込んでいる。

LUNA崩壊の日に記録された取引量は、誰かの損失が手数料として変換される過程だった。EOSが95%下落した7年間も同様だ。取引所の収益モデルは、アルトコインの価値消滅と矛盾しない。むしろ共存できる設計になっている。

あなたのBTCが取引所に置かれている限り、次のアルト崩壊が連鎖したとき、影響の外にいるという保証はない。秘密鍵を自分で管理することが、取引所の利益構造とアルト崩壊の連鎖から自分のBTCを切り離す唯一の方法だ。

今日の残高確認ではなく、今日のウォレット設定から始めることをすすめる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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