BTCを持ち続けた人の共通点|秘密鍵と55%課税の本質
2016年、同じタイミングで1BTCを約5万円で購入した2人がいたとする。資金量も購入時期もまったく同じだ。それから8年が経った2024年、2人の手元に残った金額はそれぞれ約93万円と1000万円超。差は10倍以上になっている。
「相場観の違いだろう」と思うかもしれない。だが違う。分岐点はたった一つ、「秘密鍵を自分で持っていたかどうか」だ。
2017年末、取引所に預けていた人はどうなったか
2017年末、ビットコインは1BTC約200万円前後まで上昇した。5万円で購入した1BTCの含み益は約195万円になる。日本の暗号資産税制では、この利益は雑所得として総合課税の対象となり、所得規模によっては住民税を含む最大55%の税率が適用される。
仮に最大税率が適用された場合、195万円の利益にかかる税額は約107万円となり、売却金額200万円から差し引くと手元に残るのは約93万円だ。これだけ聞くと「課税されたから損した」という結論になりそうだが、問題の本質はそこではない。
課税ではなく「持ち続ける選択肢がなかった」こと
もう一方の人物はどうだったか。彼はビットコインをハードウォレットに移し、秘密鍵を自分で管理していた。2017年の高値局面でも売らなかった。そして2024年、1BTCが1000万円を超えた時点で初めて「売るかどうか」を自分で判断できる立場にいた。
重要なのは「売らなかったこと」ではなく、「売らない選択肢を持っていた」という事実だ。
取引所にBTCを預けていると、相場が動いたときに感情的な判断が入りやすくなる。すぐに売れる環境は、売ってしまう環境でもある。加えて、取引所側の事情——出金制限、アカウントの問題、経営状況の悪化——によって、意図しないタイミングで動けなくなるリスクも存在する。あくまで管理権の問題として、アクセス手段が自分の手の外にある状態には、固有の脆弱性がある。
ハードウォレットに移すという行為は、物理的に「すぐ売れない」環境を意図的に作ることでもある。長期保有を実現した人の多くが、この仕組みを活用している。
日本の税制下で長期保有が持つ意味
日本の暗号資産税制では、売却・交換のたびに課税イベントが発生する。株式の長期保有に適用される20%の申告分離課税のような制度は、現時点では暗号資産には存在しない。
これは「売るたびに課税される」構造であり、短期で売り買いを繰り返すほど税負担が積み重なる。逆に言えば、売らずに保有し続けることが、現行制度の下でBTCの増価益を最大限に活かす有力な戦略になる。
そしてその戦略を実行できるのは、秘密鍵を自分で管理している人だけだ。取引所に預けたままでは、「持ち続けたい」という意思を実現する手段が自分の手の中にない。課税のルールは立法府が変えない限り個人にはどうにもできないが、管理権をどこに置くかは今すぐ自分で決められる。
次のサイクルで同じことが繰り返される
2024年末、ビットコインは再び過去最高値を更新した。このサイクルでも、高値局面で「売った人と持ち続けた人」の差が生まれる。取引所に預けたまま次の山を迎えた人の中には、2017年と同じ結末をたどる人が出るだろう。
悪い選択だとは言い切れない。だが少なくとも、「持ち続けることができた」という選択肢を最初から持てなかった人は、同じ後悔を繰り返す可能性が高い。
ハードウォレットを用意し、シードフレーズを安全な場所に保管する。この準備を今しておくだけで、次のサイクルで「売るかどうか」を自分で決められる立場に立てる。鍵を自分で持つかどうか、その一点が8年後の10倍格差を生む。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
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