家族が復元できた日だけ引き継げる|セルフカストディBTC相続3手順

あなたのビットコインが家族に届くかどうか。それを決めるのは遺言書でも公証人でもなく、あなたが生前に何をしたかだ。

取引所にあるBTCなら、法的手続きで遺族が申請できる。死亡診断書、戸籍謄本、法定相続人の証明書類を揃えれば、数ヶ月かかることもあるが窓口は開いている。セルフカストディは、まったく構造が違う。

12語の壁に、法律は無効だ

ハードウォレットの中のBTCを動かすには、シードフレーズが必要だ。裁判所の令状も、弁護士の書類も、数学的な暗号の前では何の意味も持たない。秘密鍵は「法律上あなたのものか」ではなく、「物理的にアクセスできるか」だけを問う。

遺族がハードウォレットを手にしても、シードフレーズを知らなければ手の打ちようがない。正しい12語(または24語)を入力できなければ、そのBTCは永遠にブロックチェーン上で静止したまま、誰も動かせない状態になる。

「場所を伝えただけ」では足りない理由

シードを別の場所に保管し、その場所を家族に伝えたとする。それだけで十分に思えるかもしれない。だが実際の場面を想像してほしい。

あなたが亡くなった後、家族がシードフレーズのメモを発見する。「これを使えばいいのか」と思う。しかし、どのウォレットアプリを使えばいいか、どのデバイスで復元するのか、パスフレーズ(任意の第2フレーズ)はあるのか、どのネットワーク設定が必要なのか——そのどれも分からなければ、シードがあっても動けない。

知識がない者にとって、ハードウォレットは機能しない黒い箱だ。シードの在処を知っていることと、復元できることは、まったく別の話である。

生前に完了させるべき3手順

準備はシンプルだが、すべて完了させなければ意味をなさない。

① シードを安全に別保管し、場所を伝える

シードフレーズはハードウォレットと同じ場所に保管してはいけない。家屋の火災や盗難で同時に失われるリスクがあるからだ。金属プレートに刻んで耐火金庫に入れる、あるいは地理的に別の拠点に保管するなど、物理的な分離が必要になる。場所を知る人間は、信頼できる一人だけに絞ることを勧める。

② 復元手順書を残す

どのウォレットアプリを使うか、どのデバイスで操作するか、パスフレーズの有無、操作の具体的な手順を書く。「Bitcoin」という言葉すら知らない家族が読んでも理解できるレベルが目標だ。抽象的なメモではなく、画面ごとの操作手順に近いものが必要になる。

③ 家族と少額で復元テストを完了させる

これが最も重要で、最も見落とされる手順だ。手順書と少額のBTCが入ったウォレットを使い、あなたが生きている間に、家族の手だけでシードから復元させてみる。

迷う箇所、詰まる箇所が必ず出る。その場で解決できるのは、あなたが隣にいるからだ。テストをしない限り、手順書の不備には気づけない。「渡せる」は手順書を完成させた時ではなく、家族が実際に復元できた時に初めて成立する。

先延ばしにできない理由

ビットコインの価格が上がるほど、この準備の重みは増す。1BTCが1,000万円なのか1億円なのかで、遺族が受け取る意味はまったく異なる。

そして準備は、突発的な事故や病気の前に終わらせなければならない。入院してからでは遅い。認知機能が落ちてからでは正確な手順書が書けない。意識を失った後は、もうできない。

セルフカストディは、自由と責任を同時に引き受ける選択だ。取引所とは違い、誰も代わりに手続きをしてくれない。その責任の中に、相続の準備も含まれている。

まず今日、シードフレーズがどこにあるか確認することから始めてほしい。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

LINE登録でセルフカストディの始め方を学ぶ 正しい手順を無料でお届けします
← 記事一覧に戻る
LINE登録 ▶ セルフカストディの始め方を無料で学ぶ