10倍に戻っても引き出せない|アルト残高が閉じる構造とBTCへの警告

2017年のICOブームを覚えているでしょうか。「これは次世代の通貨だ」「ビットコインの10倍になる」という言葉に押されて、名前も聞いたことがないトークンを買った人は少なくありませんでした。あれから7年が過ぎた今、その取引所口座を久しぶりに開いてみてください。

おそらく、画面には数百円の残高が表示されているはずです。

99%暴落が作る「出口なし」の状態

10万円を投じたとしましょう。ピーク時から99%下落した今、残高は1,000円を切っています。損は確定しているが、「いつか戻るかもしれない」と放置してきた。その判断自体は理解できます。

しかし、ここに見落とされやすい罠があります。

取引所にはコインごとに「最低出金額」が設定されています。残高がその金額を下回ると、たとえ出金を望んでも、システムが処理を拒否します。引き出す手段が存在しない状態です。

では、「少し回復すれば出金できる」と考えるのはどうでしょうか。残高300円のアルトコインが10倍に上昇して3,000円になれば、最低出金額1,000円を超えて引き出せそうに見えます。ところが、99%暴落したコインが10倍になるということは、まだ90%の損失状態です。ピーク価格まで戻るには、そこからさらに100倍以上の上昇が必要です。現実的な話ではありません。

暴落の瞬間に、出金の扉は永久に閉じています。

上場廃止通知が届く日

しばらく放置を続けていると、ある日取引所からメールが届きます。「〇〇コインの取扱終了について」という件名です。

取引所はビジネスとして成立しないコインを維持する理由がありません。取引量がほぼゼロであれば手数料収入も生まれない。コスト削減の観点から上場廃止を選択するのは、至って合理的な経営判断です。

通知には出金期限が記載されています。しかし、その時点でもあなたの残高は最低出金額を下回っています。通知を読んでも、実際に何もできることがない。

期限が過ぎれば、残高はゼロになります。

これがアルトコイン保有者が辿る、最も一般的な末路です。2017年から2018年にかけて誕生した数千のアルトコインのうち、現在も取引されているものはほんの一握りです。残りの多くが、この経路を通じて投資家の資金ごと消えていきました。アルトコインは最初からこうなるよう設計されていた、と言っても過言ではありません。発行者とVCは初期の安値で手にした持ち分を高値で売り抜け、流動性が失われた後は一般投資家だけが残されます。

同じ取引所に預けているBTCの話

ここで一つ、確認していただきたいことがあります。

アルトコインが消えた取引所に、ビットコインも預けていませんか。

ビットコインとアルトコインは本質的に異なります。ビットコインは2100万枚の発行上限を持ち、17年間プロトコルが一度も覆されていない。その設計の堅牢さは、アルトコインとは比較になりません。

ただし、それはネットワーク上の話です。

あなたのビットコインが取引所に預けられている限り、秘密鍵を握っているのは取引所です。資産の存在はあなたの画面に表示されていますが、そのBTCを実際に動かす権限は取引所の管理下にあります。アルトコインが上場廃止で出金不能になったように、取引所が経営危機に直面したとき、または規制当局から出金停止の指示が下ったとき、ビットコインであっても引き出せなくなる可能性があります。資産の価値とは別に、アクセス権が失われるリスクです。

アルトが消えた取引所に、BTCを置き続ける理由はないはずです。

今すぐ動ける選択肢

ハードウォレットを用いたセルフカストディ(自己管理)は、この問題に対する根本的な解決策です。自分で秘密鍵を管理すれば、取引所の経営状態に関係なく、あなたのビットコインはブロックチェーン上に存在し続けます。

初期設定に必要な時間は1〜2時間程度です。シードフレーズを正しく保管し、復元テストを一度行えば、基本的な管理体制は整います。

アルトコインの残高がすでにゼロに近いなら、それはもう取り返せないかもしれません。しかし、取引所に残っているビットコインは、今この瞬間も動かすことができます。

動けるうちに、動いてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

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