$55の壁が作った2つの未来|LN経済圏と取引所BTC

ビットコインで送金しようとして「手数料が高すぎる」と感じたことはないだろうか。実は2017年12月、その状況は極端な形で世界中のBTC保有者を直撃した。1回の送金にかかる手数料が約55ドルに達し、少額の決済はもちろん、普通の送金さえ割に合わない状況になったのだ。

当時、SNSには「BTCは使えない」という声があふれた。それは単なる不満ではなく、ビットコインが「デジタルキャッシュ」という当初の構想から遠ざかっているように見えた瞬間だった。

答えは1年以上前に出ていた

しかし、技術の世界ではすでに解が動いていた。

2016年1月、ジョセフ・プーンとタドゥース・ドライジャが「ライトニングネットワーク(LN)」の論文を発表した。ビットコインのブロックチェーン上に決済チャネルを構築し、当事者間でほぼリアルタイム・ほぼ手数料ゼロの送金を実現する設計だ。2017年の危機がピークを迎えた時点で、解決策の設計はすでに完成していた。

LNは2018年にメインネットで稼働を開始し、その後着実に拡張されてきた。今日では世界中のノードが接続し、サトシ単位の少額決済が実際に行われている。「BTCは使えない」という批判への技術的な反論は、危機が世間に知れ渡る前から動き始めていたのだ。

秘密鍵という唯一の入場条件

LNを使うには、一つの前提がある。自分でビットコインの秘密鍵を管理していることだ。

LNのチャネルは、自分のウォレット内のビットコインを使って開設する。プロトコルの仕組み上、自分だけが署名できるBTCでなければチャネルは作れない。取引所に預けたBTCでは、この条件を満たせない。取引所が秘密鍵を管理している以上、LNプロトコルの文脈ではそのBTCは「自分の署名で動かせる資産」として機能しないからだ。

これは取引所への批判ではなく、プロトコルの設計上の制約だ。LNに参加できるかどうかは、秘密鍵を自分で保有しているかどうかによって決まる。アクセス権と管理権の問題であり、法律上の所有権とは別の次元の話になる。

2017年以降に生まれた2つのグループ

あの手数料危機を境に、BTC保有者は静かに2つに分かれていった。

自分の秘密鍵を持った人たちは、LNの普及とともに新しい経済圏へ移動した。ほぼゼロの手数料で即時送金ができ、ルーティングノードを運営すれば中継手数料を得ることもできる。LN上のサービスやアプリケーションを利用する選択肢も年々広がり、2017年には存在しなかった機能が積み上がっている。

一方、取引所に預けたままのBTCは、本質的に2017年以前の状態に近い。オンチェーンの手数料は依然かかり、LN経済圏への参加はできない。価格の変動は共有されるかもしれないが、プロトコルの進化による機能の拡張は、取引所が対応しない限り届かない。

格差は価格の差ではなく、何ができるかという機能の差だ。その差は毎年静かに広がっている。

今から始められること

秘密鍵を自分で管理することは、難しい技術的操作ではない。ハードウォレットを用意し、取引所から自分のウォレットアドレスへ送金する。それが出発点だ。LNチャネルの開設はその先のステップになるが、まず「自分の秘密鍵で保管する」状態を作ることが最初の条件になる。

2017年から7年以上が経過した今も、その時点で生まれた格差はそのまま残っている。取引所の残高画面を眺めながら、LN経済圏が遠くにあることに気づいていない人は少なくない。解決策は2016年に用意されていた。あとは自分が動くだけだ。

秘密鍵を手元に持つことを、今日から検討してみてほしい。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

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