40%のハッシュが崩れた朝|3年間誰があなたのBTCを守ったか

2017年3月、あなたが取引所にBTCを預けていたとしたら——その時期、ビットコインのルールを根本から変えようとしていた勢力が採掘ハッシュレートの約40%を握っていた。致命的なバグによってその試みが一夜で崩れたことを、当時知っていただろうか。

3年連続、毎年一度の改変試み

2015年から2017年にかけて、ビットコインのブロックサイズを拡大しようとする試みが毎年起きた。

2015年8月に登場した「BitcoinXT」は、ブロックサイズを現行の8倍に拡大することを目指した。採掘者(マイナー)の約15%が支持を表明したが、ノード運営者の反対によって退けられた。翌2016年には「Bitcoin Classic」が同様の方針を掲げて登場し、これも否決された。そして2017年、「Bitcoin Unlimited(BU)」が3年間で最も本格的な挑戦を行った。

取引所にBTCを預けていたユーザーは、いずれの局面においても議論の外に置かれていた。マイナー側に立つことも、ノード運営者側に立つことも、どちらもできなかった。

40%を握ったBUと致命的なバグ

2017年前半、BTCを採掘するハッシュレートの約40%がBU支持のシグナルを発していた。この数字は当時のビットコイン史上で最も深刻なフォーク危機として受け止められていた。

もしBUが主流チェーンになっていたならば、取引所は独自の判断でどちらの「BTC」を正規とするかを決定しなければならなかった。あなたが取引所のウォレットで保有するコインがどうなるかは、自分の意思ではなく取引所の経営判断によって決まる。出金を一時停止するか否か、どちらのコインを配布するか——すべてが取引所側の裁量に委ねられる構造だった。

しかし2017年3月、BUのソフトウェアに致命的なバグが発見された。BUを動かしていた多数のノードが連続してクラッシュし、40%という支持率の背後に深刻な技術的脆弱性があることが露わになった。改変の試みは実質的に幕を下ろした。

守られたが、守る側にはいなかった

この結末には、取引所ユーザーにとって皮肉な逆説がある。

BitcoinXTもBitcoin ClassicもBitcoin Unlimitedも、それぞれ失敗に終わった。取引所ユーザーが持つBTCのルールは結果として変わらなかった。しかしその「守られた」という結果は、ノード運営者たちが3年間にわたって拒否権を実行し続けたことによる。取引所ユーザーは守られたが、守る側にはいなかった。

自分の秘密鍵を持つユーザーは異なる立場にいた。どのノードソフトウェアを使うかを自分で選び、フォーク発生時にどちらのチェーンに乗るかを自分で判断できた。取引所の対応発表を待つ必要がなく、情報を得た時点で行動できた。取引所ユーザーと秘密鍵保有者では、同じBTCを持っていても、プロトコルをめぐる局面での選択権がまったく異なっていた。

秘密鍵を持つとは、BTCを直接保有することにとどまらない。ビットコインのルールが問われる局面で、当事者として参加できる立場にいることでもある。

次の局面に向けて

ブロックサイズ戦争は一段落したが、プロトコルをめぐる議論はこれからも起き続ける。量子耐性移行、スクリプト機能の拡張、マイナー報酬の構造変化——いずれも将来の変更候補として議論されうる論点だ。次に同じ構図が現れたとき、あなたは参加者でいるか傍観者でいるか。

2015年から2017年の3年間、匿名のノード運営者たちがBTCのルールを守り続けた。その恩恵は取引所ユーザーにも届いたが、意思決定への参加は許されなかった。ハードウォレットを手元に置き、秘密鍵を自分で管理することが、傍観から参加への第一歩になる。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。

この記事が参考になったら、セルフカストディの具体的な始め方もチェックしてみてください。

LINE登録でセルフカストディの始め方を学ぶ 正しい手順を無料でお届けします
← 記事一覧に戻る
LINE登録 ▶ セルフカストディの始め方を無料で学ぶ